アメリカのプライベートジェット市場は他国と比較して大きく発展していますが、それはなぜでしょうか？ この記事では、アメリカでプライベートジェット市場が発展している理由とその利用環境、また、アメリカ国内でプライベートジェットを利用して移動する例を紹介します。
アメリカのプライベートジェット市場
世界のプライベートジェット市場規模は2023年に約6兆3,688億円、2024年は約6兆6,483億円になると見込まれており、2032年には約9兆7002億円まで成長すると予測されています※1。
※1 ここでの金額は全て2024年9月時点のレートで算出
また、国土交通省の発表によると、2023年12月時点で日本が保有している個人保有分を含むプライベートジェット機は83機。これに対してアメリカの保有数は20,996機です。ドイツ559機、中国204機など、他国と比べてもアメリカの保有数は群を抜いています。ではなぜ、アメリカではプライベートジェットの保有機数がこれほどまでに多いのでしょうか？
出典：国土交通省「ビジネスジェット（BJ）の概要」
その要因のひとつとして、アメリカのプライベートジェット市場が他国と比較して成熟している点が挙げられます。例えば、アメリカでは企業のレンタル専用機に加えて、プライベートジェットを保有するオーナーが使用していない間に貸出をするケースや、複数名でプライベートジェットの所有権を共有するケースなど、プライベートジェットが利用しやすい環境が構築されています。
こうした背景にはアメリカが「シェアリングエコノミー※2」の発祥地であり、人々の生活の中にこの考えが根付いていることも理由として考えられるでしょう。
※2 個人が所有するモノや空間、スキルなどを提供・共有する経済の動き。また、このような形態のサービスのことを指す。
さらに、コロナ禍において定期便が減少したことでプライベートジェットの利用者が増え、利便性に対する評価が高まりました。感染リスクを減らすなどの観点からも、より安全な移動手段としてプライベートジェットを利用することが多くなり、特に北米地域でのプライベートジェット機の調達が増えたと言われています。
アメリカでのプライベートジェットの利用環境
アメリカでは「移動手段としての飛行機」の見方が、日本とは大きく異なります。
アメリカの国土面積（約962.8万km2）は広大で、日本の国土面積（約37万8000 km2）の約25倍にものぼるため、プライベートジェットが離着陸できる空港も数多く存在します。日本の空港の数が97なのに比べて、アメリカは402です。国内の各エリアに複数の空港があるため、地図上を指でなぞるような感覚で旅程を作成できます。
プライベートジェットは定期便のようにフライト区間が決められていないため、混雑している空港を避け、目的地に近い空港を選択するなどの柔軟な移動が可能です。スムーズな移動と所用時間の短縮により、時間を有効活用できます。
アメリカでのプライベートジェットに対する考え方
アメリカでは時間を有効活用する手段として、企業の経営層などがプライベートジェットで移動することがますます一般的になっています。
例えば、2020年にフロリダで創業したべリジェット社（VeriJet）は、会員になれば通常の金額よりプライベートジェットを割安で利用できる会員サービス「ジェットカード」を提供しています。
同社の保有しているジェット機は大型のプライベートジェット機と比べて速度が遅く、会員が乗りたいときに必ず搭乗できる保証はありませんが、席が取れた場合は通常よりも安い金額で利用できると言います。
アメリカではこのようなサービスを、さまざまな企業が取り組んでいます。このことからも、アメリカでプライベートジェットを移動手段として利用する際のハードルがとても低いことが分かるでしょう。
アメリカでのANAビジネスジェット「エリアチャーター」の移動例
日本企業の経営者が、アメリカでIMF総会に参加する事を例としたアメリカ国内におけるプライベートジェットでの移動例を紹介します。
IMF総会の実施はアメリカの首都ワシントンD.C.ですが、ほかの都市にも顧客との面談や現地従業員とのミーティングのために立ち寄る必要があると想定します。
「東京からニューヨーク」「ヒューストンから東京」では全日空（ANA）の定期便が毎日運航しているため、日本とアメリカの移動は定期便を利用し、アメリカ国内はANAビジネスジェットのプライベートジェットを利用する「エリアチャーター」がおすすめです。コストをセーブしつつ、スピーディーな移動を実現できます。
プライベートジェットを有効活用し、企業が顧客や従業員のために時間を使うことで、自社に高い価値を付与し、売上向上につなげられるでしょう。
| 移動区間 | 活動 |
|---|---|
| 東京⇒ニューヨーク（ジョン・F・ケネディ国際空港）（定期便） | 定期便でニューヨークへ移動。ニューヨークのメイン空港ジョン・F・ケネディ国際空港に到着。 |
| ニューヨーク（テターボロ空港）⇒ワシントンD.C. （プライベートジェット） |
スムーズな移動のため、ジョン・F・ケネディ国際空港と比較して混雑が少ない、テターボロ空港より離陸。IMF総会が開催されるワシントンD.C.へ移動。 |
| ワシントンD.C.⇒シカゴ (ミッドウェー空港) （プライベートジェット） |
シカゴにいる顧客との面談のために移動。面談場所に一番近い空港を選択し、移動時間を短縮して時間を有効活用。 |
| シカゴ⇒ヒューストン （プライベートジェット） |
ヒューストン支店の現地従業員とのミーティングを行うため、ヒューストンへ移動。プライベートジェットはプライベート空間が確保できるため、周りの目を気にすることなくミーティングの準備も行える。 |
| ヒューストン⇒東京 （定期便） |
最後は定期便を利用して、ヒューストンから東京へ帰国する。定期便とプライベートジェットの両方をうまく活用することで、コストをセーブしつつスピーディーな移動が可能に。 |
まとめ
広大なアメリカで各都市を移動する際には、プライベートジェットの利用がおすすめです。飛行場の多いアメリカでは目的地の近くまでプライベートジェットで移動できるため、時間の有効活用につながるでしょう。
ANAビジネスジェットでは、目的地のある国までは全日空（ANA）の定期便を利用し、目的地内の移動はプライベートジェットを利用できる「エリアチャーター」を行っています。詳細はこちらよりご確認ください。
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